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イッセイエッセイ

1254号 新諸国物語(16)

2017年07月22日(土)

  エジプトの受験戦争
 エジプトでは、全国共通(毎年6月)のテスト結果によって進学する大学が決まる。この国では公教育の劣化が著しく、授業では手を抜き放課後に家庭教師や塾を経営する教師も多い。出身大学・学部で収入が天と地ほども違う現実のため、進学希望者は高額の授業料を払い準備をする。今回、その共通テストの問題が漏えいし、一部のテストをやり直した。抗議デモを行う生徒や、やり直しテストで満足な点を取れなかったためにイスラム教やキリスト教の最大のタブーである自殺を行う生徒も相次いだ。(2016.8.11産経新聞・国際面コラム「千夜一夜」)
 我が国に比べて進んでいるか遅れているか。


  接待禁止に韓国恐々
 韓国では不正腐敗の根絶を目的とし、公務員らに対して3万ウォン(約2800円)を超える食事接待などを禁じる新法が施行された。さらに違反行為に対しパパラッチとメディアが呼ぶ違反行為の申告者には最大2億ウォンの報奨金も出るということで、関係者がおびえる。国内の接待支出額は全体で4兆円を超え、1人あたりの平均接待飲食費は5~6万ウォンとなる。従来の接待のほとんどが違法になる。企業や政治家が記者にお小遣いを渡す慣例もあるなど、接待文化は根強い。官公庁や飲食店は対応に追われている。(2016.9.27朝日新聞)


  公務員に「二人っ子」奨励通知も撤回【中国】
 中国中部・湖北省宜昌市(市、共産党委員会などの連名で)が公務員に対し、子どもを2人まで生み、政府の進める「二人っ子」政策を広めるよう通知したが、批判が続出し、撤回に追い込まれた。中国では推計出生率が、1.2前後と日本を下回り、深刻な少子高齢化に直面する。教育費などの高騰から2人目を生む夫婦はなかなか増えないのが現状だ。今回の通知についても賛同もあるが、「出産は強制するものではない」、「子育て費用を減らす措置が必要だ」などの批判が圧倒的だったため、通知は市のサイトから削除。(2016.10.6毎日新聞)
 中国では進歩的な考えと旧来の慣行が早や共存している時代を迎えているのか。


  時間外のメールチェックしません【フランス】
 フランスで、企業が従業員に対し勤務時間外に仕事に関するメールを強いられないよう、企業(従業員50人以上)に環境整備を義務付ける労働法制を施行した(運用は各企業任せ)。フランス(オランド政権)では、休日も含めて昼夜を問わず仕事のメールに追われる人が労働人口の37%に上る。このうち約3分の1がストレスを原因とする心身の不調を抱えているとの調査結果があり、IT機器に「接続しない権利」を求める声が高まっていて、働き方改革をしたことになる。(2017.1.9中日新聞)


  生地主義のすきを突かれぬよう
 各国の国籍の取得には、親からの血統による「血統主義」と、生まれる場所を基準とした「生地主義」があり、EU諸国は「生地主義」が多い。先日、オランダの極右政党が移民反対を掲げたことに対抗し、トルコ大統領が欧米在住のトルコ人に向け、次の様に述べたという。――「各自が3人といわず、5人の子供を産め。そうすれば諸君はヨーロッパの未来を担う人間になれる」。生まれた子供はトルコ移民ではなく、ヨーロッパの国籍を持つことになる。(2017.4.2産経新聞)
 旧約聖書にあるような言葉使いである。


  大麻合法州の拡大
 ワシントンDCでは、ネットで注文し希望の場所に大麻が届くシステムが話題を呼び、注文も伸びている。ジュースなどのおまけ(「愛情」といわれる)が加わると値段が上るわけだ。DCでは大麻の売買は禁じられているが、使用と譲渡は合法という現実。グレーゾーンの商法に日本とちがい米州は寛大らしい。大麻の使用は2012年に解禁された州を初めとし、今では人口の2割以上が合法化された場所に住んでいることになる。もっとも、連邦法では、大麻の所持や使用が禁止されており、州の実態と矛盾している。これまで国レベルでの合法化の議論は起きていないが、トランプ政権下でどうなるのか注目を浴びている。「この数年で常用者や乱用者が増えているのに、対策の議論がない」と警鐘を鳴らす声もある。(2017.4.3朝日新聞)
 実に世の中さまざまなことがあるものだ。


  主要道500m内での酒販売禁止
 インドの一昨年の交通死者は約14万6000人で、うち6700人余が飲酒事故によるもの。飲酒運転の事故多発を受け、国(最高裁)は主要道から500m以内での酒の販売を禁止した。酒店だけでなくレストランやホテルでの販売も禁止される。業界はこれにより全国での失業者が100万人、マハラシュトラという一つの州だけで経済損失が1200億円に上るとの推計し、反発している。ニューデリーに近いハリヤナ州の州都では最高裁に再審理を求めるデモが起きた。ある飲食店では客が9割減になるなど影響は大きい。(2017.4.5産経新聞)

 日本の自販機などはどういうことになるのだろう。道からの近さではないと思われるのだが。


  カーストへの挑戦
 インドのカースト制度の中で最底辺に位置するのがダリト(不可触民)だ。上位カーストからは汚れた存在とみなされ、ダリトが作った食品を口にすることはダブーである。
 「ダリトが作る食品は汚れていない。」そんな思いから、プラサードさんは食品通販会社「ダリト・フーズ」を設立し、差別社会と戦おうとしている。ダリトの農家と契約し、スパイスや漬物を販売する。社名にも「ダリト」と明示し、「いつか必ず差別はなくなる」としてインド社会へ挑戦する。(2017.4.26毎日新聞)


  高額紙幣廃止とキャッシュレス
 インドで現実取引が主流の社会だが、電子決済によるキャッシュレス化への動きが注目されている。
 政府(モディ政権)が高額紙幣(1700円─1000ルピーと500ルピー)を廃止し、脱税目的の不正蓄財の洗い出しと電子決済の普及をねらった結果である。
 現金に代わる決済方法として、雑貨店から寺院の寄附まで(日本では考えられない合理主義)、電子決済が広まった。
 政府は、「アーダール・ナンバー(基礎番号)」と銀行口座を連動させ(99%普及)、指紋などで代金が支払える電子決済もスタートした。インドでは、戸籍がなく正式の身分証明書がこれまでなかった。
 だが、現金に親しんできた習慣を変えるのは簡単ではないようだ。
 ある服屋では、一時9割を超えていた電子決済が、現金不足が解消されつつある最近では又1割程度に戻ったという。
 地元記者は「インドは人口が多く習慣を変えるのは時間がかかる。しかし電子決済の利点が理解されれば、数年で変化が訪れるだろう」としている。(2017.5.5毎日新聞)

(2017.7.20 記)