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イッセイエッセイ

1260号 日本人の英単語

2017年08月06日(日)

 「日本人の英語はなぜ間違うのか?―英語下手の原因は中学校の教科書にあった?」(マーク・ピーターセン著 2015年集英社)
 この本を一眺めしたところ、中学校の英語の教科書そのものに学習上からみて問題点があることを指摘している。
 その上で、具体の文法項目として、(1)過去完了形を過去形と一緒に学ぶ、(2)仮定法は未来形と一緒に、(3)非制限的用法(関係詞)は制限的用法と一緒に、このように中学校で早く学び教えるほうが、子供にとっても先生にとっても良い学習法であるという(指導要領では高校でとなっているので、要綱には反するのだろうか)。つまり中学生の負担をおもんばかるあまり、かえって英語教育に不都合な問題を生じさせていることを述べている。上記の後回しにされている文法を早めに一緒にまとめ、具体な例文を交えて対照させながら覚えさせるのがよいと言う。
 そのほか、日本人に多いsoの使い過ぎと誤用、冠詞theの使い方、itとthatの違い、同一単語の無用な繰返し、英文としてみた場合の論理の飛躍、など英作法の添削をして直して欲しい点を指摘している。
 著者はこれまで「日本人の英語」について幾つかの本を書いておられる。表題にいう“英語はなぜ間違うのか?“についてであるが、これは当り前のことであろう。日本人だからなぜか間違うといった方がむしろ正しいだろう。日本の教科書に問題があり、指導要綱に問題があり、教え方にも問題がある、との指摘はもっともで同意できる点がほとんどである。一方で英文を正しく書くことについての指摘事項(話すことは、本書ではなぜか話題になっていない)については、ともかく間違ってしまうことを指摘し訂正するだけでは、真の解決にはならないだろう。正しい作文を妨げている原因と是正に関して、どの程度なら許されるのか、また習得にどの程度の時間がかかるものなのか、直す工夫はどうなのか等、もっと突き詰める必要があろう。
 著者はこうした問題が、「現在のような国民全員に1つの外国語を覚えさせようとする」ところの日本の現状から生まれていると言う。日本語とは異なる感覚と論理で組み立てられている英語の理解をもっと深める必要があるとする。しかし要はその具体化ではなかろうか。

(2017.7.18 記)