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イッセイエッセイ

1271号 均衡について

2017年10月12日(木)

 力を求めようとする諸国家間のエネルギーは、バランス・オブ・パワーの形態を必然的に生み出すものであり、バランス・オブ・パワーは普遍的な概念である、とモーゲンソーは著書「国際政治」で説く。
 国際政治における次のような誤解、つまり、一方において権力政治の追及とその必然的結果としてのバランス・オブ・パワーという現実の関係があり、他方においてより良い国際政治と言う対外政策がありうる、という考え方を誤ったものとして否定するのである。つまり両者は選択的な関係にあるのではなく、バランス・オブ・パワーが必然的なのであって、はじめからユートピアを考えるのは幻想的だとするのである(第11章の冒頭 中巻16頁)
 さらにつづける。「『バランス』と同義語としての「均衡」の概念は、多くの科学――物理学、生物学、経済学、および政治学――で一般に使われている。それは、多数の自律的な力から成り立つひとつのシステムのなかにおける安定を意味する。外部の力によって、あるいはこのシステムを構成する要素の変化によってその均衡が攪乱されるたびに、このシステムは、本来あるいは新たな均衡を再建しようとする傾向を示す」(17-18頁)
 「現代の資本主義それ自体は平衡力のシステムとして描かれてきた。それは総体としての社会にも適合する。したがってわれわれは、東部と西部、北部と南部と言うような異なる地理的領域の間、また農業と工業、重工業と軽工業、大企業と小企業、生産者と消費者、経営と労働のような異なる活動の種類の間、さらに都市と地方、老年と中年と青年、経済の領域と政治の領域、中産階級と上層階級と下層階級、のような異なる機能集団の間の適切なバランスを求めるのである。」
 ここで注目すべきは、我々が関心を今日抱いている都市と地方の関係を、バランス・オブ・パワーの例として挙げていることである。均衡の基礎には二つの条件設定がある(同19頁)
 第一は、バランスを保つ要素は「社会にとって必要であるか、あるいは存在する価値がある」こと、第二は、「均衡の状態がなければ、ある要素が他の要素よりも優勢を占め、他の諸要素の利益と権利を侵害し、そして最終的には他の要素を破壊するかもしれない」ということであるとみている。
 メインの話題ではないものの、都市と地方の関係が、異なる機能集団のバランスの問題の一例として示されている。実際には異なる地理的領域の間の問題と見ることもできるだろう。
 それはともかくとして両者の適切なバランスを維持することの必要性を言っている。
 モーゲンソーのバランス論はパワーつまり力の対立を基本としており、そうした眼で地方と大都市の問題を眺めたとき、一種の力比べを含意しており、自然体ではないこと、またたえず崩れてしまうバランスを適切な位置に引き戻さなければならないことを示唆するものである。

(2017.8.26 記)