【トピックス】

「週刊ダイヤモンド2003年12月27日合併号」
特集「全国知事大研究」
 日本を変えられるか三人の異色知事に直撃インタビュー
 福井県知事 西川一誠

知事のリーダーシップとは何か。
地方主権の時代に知事が果たす役割とは?
そして、地方から日本を変えることができるのか。

 
―地方の創意工夫や自発性がなによりも求められている―
 

 二〇〇三年四月の県知事選挙でマニフェストを掲げて戦ったのはどのような考えからですか。
A 政策を掲げて選挙をしたかったからです。スローガンだけの選挙もイメージ選挙もしたくなかった。
選挙は本来、政策を訴えるものです。
 選挙中も県民から「時間がかかって、わかりにくい日本のお役所仕事をやめてほしい」という話をたくさん聞きました。それで、期限と財源、数値目標を具体的に示し、責任とスピード、成果がわかる県政の実現を訴えました。

 国政でもマニフェスト選挙になりましたね。
 首長のほうが一人なので、きつい。責任の所在がはっきりしていますからね。それで、私はまず、県庁の部局長とのあいだでマニフェストを確実に実行するための「政策合意」を交わしました。
 また、県庁組織もマニフェストに合わせて改編しました。部ごとにあった物理的な壁をとっぱらい、部や課の廃止や新設、名称変更などを実施しました。それからマニフェストに書いた民間人副知事の登用を行ない、有識者を集めた戦略会議も発足させました。若手や女性職員の登用も実行しました。新しいことをやるには、やり方から変えていかなければダメです。

 職員はとまどったのではないですか。
 それは多少はあったかもしれませんが、マニフェストに書いていますので、職員たちも事前にわかっていたはず。部局長とは毎週、ミーティングも重ねていますし、全職員にメールを送っています。彼らも自発性とスピードをもって一緒に歩んでいかねばなりません。世の中は大きく変化しています。役所の気風を変えていかなければなりません。庁内の変革と職員の意識改革は非常に重要です。

 知事に求められるものも変わってきたと思いますか。
 昔は(国から)来たものを消化していればよかったし、何が不足しているかもはっきりしていた。しかし、今は違います。自由度の広がった成熟した時代を迎えています。すでに出来上がっているものをいかに上手に使うか、地方の創意工夫や自発性がなによりも求められています。
 いかにして県民の自信と誇りをより高めていくか、そのために知事は先頭に立たねばならないし、地域の代表として方向性をしっかり示していかねばなりません。知事のリーダーシップはますます重要となるが、それだけではダメ。パートナーシップをしっかり構築しなければいけません。

 マニフェストの実現に当たっての課題は?
A まず、制度上の制約があります。地方には財源や権限の問題があって、十分にできないものがある。国との関係における制約です。地方にもっと権限、財源を持たせるべきです。

 三位一体の改革で、税源移譲が具体化していますが。
A 現在の議論は税源の移譲ではなく、税収の移譲にすぎません。税額の何パーセント分を地方に移すといった配分論でしかない。そうではなく、国から地方への「税権限」丸ごとの移譲を行なうべきです。
 思い切った移譲によってこそ、国に依存しない自立の気概が地方自治体に生まれ、行政のムダもなくなり、受益と負担の関係もはっきりしたものとなります。その場合、地方も税の運命を握る覚悟が必要でしょう。税収確保能力の強化が不可欠です。

 税の徴収も地方が担うということですね。マニフェスト実現のうえでのほかの課題は?
A 議会との関係でしょうか。しかし、マニフェストに示した以上のものをどうやって実現させていくかが、私にとってのいちばんの課題だと思っています。

 

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