【トピックス】

平成15年11月13日(木)付け
電氣新聞(社団法人日本電気協会新聞部発行)に掲載

『立地県知事に聞く』
プルサーマル再開 慎重に対応
国、事業者の取組み見極め


  英核燃料会社(BNFL)製ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料のデータ改ざん問題で、関西電力の藤洋作社長から先月、燃料調達業務改善状況の報告を受けた福井県の西川一誠知事。プルサーマル計画の再開には「関電の品質保証体制の整備・強化状況を国にしっかり確認してもらうのが第一」と話す。県としては報告書の内容確認とあわせて、国、事業者の信頼回復に向けた取り組みをチェックし、慎重に対応する考えだ。国には地域の声が原子力政策に適切に反映されるよう、原子力立地道県知事とエネルギー関係閣僚との政策協議会合の定期的な開催を求める。(聞き手=編集委員・日暮 浩美)

信頼回復が必要
――関電がMOX燃料調達業務の品質保証活動の改善状況を報告したが、どう受け止めているか。
「高浜発電所3、4号機のプルサーマル計画再開については第一に、改善された国の検査制度(輸入燃料体検査制度)に基づいて、関電が実施している品質保証体制の強化・整備状況を国にしっかり確認してもらわないといけない。もう一つは、地元への説明会などを通じて住民の理解を十分に得て、県民の信頼を回復することが必要だ。
 県自身は報告書の内容を確認していくとともに、(信頼回復に向けた)国、事業者の取り組みをチェックし、地元高浜町の意見や県議会の議論を踏まえて慎重に対応していく。
 住民の理解を得るためにも、立地地域との共生は重要。藤社長にも申し上げたが、県内に立地する企業として、また関西で企業活動を営む中心的企業として県全体の地域振興に、エネルギー全体に対する国家的役割を踏まえて積極的に取り組んでほしい。原子力行政は、県民感情に十分合致しないと何一つ進まない。そこを理解して、十分なご尽力をお願いしたい」
――県が報告について判断する時期は。
「明示していない。スケジュールありきで物事が進むわけではない。(国、事業者の取り組みに)不十分な点があれば、必要な要請をする」
――県内の原子力15基体制維持の方針に変更はないか。
「県内にある15基の原子力発電所のうち、『ふげん』は今年3月に運転を終了した。敦賀1号機も日本原子力発電から、2010年に運転を停止する方針との報告を受けている。敦賀3、4号機の増設については、2011年度以降に営業運転を開始する計画だ。これまでの県議会の議論では、15基体制を維持するのが適切との意見が多い。当面、15基体制を維持する方向で考えていきたい」
――使用済み燃料の中間貯蔵施設については県外立地を求めていると聞くが、県内で立地を認める考えは全くないのか。小浜では誘致の動きもあるようだが。
「使用済み燃料は一定期間、発電所内にストックした後、確実に発電所外に搬出することが必要だ。貯蔵状況や発生量、六ヶ所村の再処理工場の操業の遅れ、処理能力などを考慮すれば、2010年までに使用済み燃料の中間貯蔵施設を建設する必要があることは分かる。ただ、現時点では県内の(中間貯蔵施設にかかわる)状況に変化はなく、県外立地が望ましいとの考えに変わりはない」

地域活性化に力
――電源三法交付金の使途が弾力化されたが、どのような分野に重点的に振り向けるのか。
「福井県へ交付されている電源三法交付金は、市町村分も合わせて01年度が約144億円、02年度が約143億円。今回の交付金制度改正で、今年度の交付金額は約160億円と増える見込みだ。新たに地域活性化事業が対象に追加されたので、地場産業振興支援、福祉サービス提供、人材育成などのソフト的事業へ充当できるようになり、使途も大幅に拡大された。
 改正を受けて、産業振興にかかわる事業として、誘致企業に対する新たな支援制度『誘致企業支援補助金』を来年度から創設する。また、福祉サービス充実支援事業として『知的障害者グループホーム支援事業』を今年度後半から実施している。貴重な財源なので、生活密着型の事業に活用していきたい」

国との政策協議
――国、事業者への要望は。
「原子力政策の理念と対策を確立し、講じていくのは国の責任だ。国は、地域の声が原子力政策に適切に反映されるよう、原子力立地道県の知事とエネルギー関係閣僚との政策協議会合を定期的に開催してほしい。
 この夏は、日本でも海外でも停電の問題が関心を集めた。電力消費地の大都市圏の住民にエネルギー問題の重要性を理解させ、電力供給地域の苦労を分かってもらわないといけない。そのためには原子力施設をもっと見学してもらわなければならないし、通天閣や大阪城のライトアップを時々やめてみることも必要だ。
 安全性の確保は当たり前だ。東電の不正問題の発生は国の原子力安全規制への信頼を揺るがせた。規制責任をより明確にするために、原子力安全委員会、原子力安全・保安院など安全規制の組織としてのあり方を原点に立ち返って見直す必要がある。
 もうひとつ重要なのは人材育成。大学の原子力関係の学部が縮小していく中で、優秀な技術者の育成が求められている。
 優秀な技術者を育成していかないと、ヒューマンエラーやモラルの低下を招く。県内には若狭湾エネルギー研究センターなど原子力関連の研究機関があり、来春には福井大学大学院に『原子力・エネルギー安全工学専攻課程』の設置が予定されている。今後、産学官協力による原子力の安全教育・研究拠点が整備されるよう県としてもぜひ、協力していきたい」

 

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