【トピックス】

月刊 「官界」2004年4月号より転載
「菅川健二の知事訪問」のインタビュー

これから3回連載で掲載いたします。
第1回目のインタビューを掲載いたします。


「福井元気宣言の実行」
 

●今年はマニフェスト実行の年
菅川西川知事には、知事がお若い時に広島県でご一緒させていただきましたが、昨年四月の統一地方選挙で、「福井元気宣言」のマニフェストを掲げて当選されました。あれから約一年になりますが、この間の率直なご感想からお伺いしたいと思います。
知事菅川先輩には広島県でご指導いただきました。
あの頃が懐かしいですね。今日はよろしくお願いします。
マニフェストを政権公約と訳すと少し国政的ですので、私は政策公約と日本語で訳しました。昨年はなんとかそれを軌道に乗せようという強い思いがありまして、かなりスピードを上げて進めた感じがします。
成果主義、顧客主義、それから事後評価という行政手法を入れまして、機構改革を行い、その結果、県庁の約半分の課は、名前が変わってしまいました。
それから部屋の壁をなくし、部全体がざっと見えるようにしました。
民間の競争的な感覚は大変重要だと思いまして、実際に民間の人にお願いするのが一番早いだろうということで、デュポン・ジャパンの社長をしておられた山本雅俊さんを副知事に要請しました。
企業誘致や経済の活性化などを担当してもらってます。
当面は雇用、あるいは経済活性化が一番重要な課題だと思っています。
そこで、最初に福井県の「経済社会活性化戦略会議」を設けました。
福井県出身のホンダの前社長、現相談役の吉野浩行さんなどにメンバーになっていただいて、グローバルな視点で経済雇用対策に取り組んでいます。
昨年はそういう意味でマニフェストの体制づくりの年でした。
そして、今年は実質一年目に当たります。景気もちょっと風向きが良くなりつつあるかな、というところですから、これを追い風にして一歩前進、攻めの姿勢でのぞみたいと思います。
また昨年はちょっとスピードを上げましたので、職員には少しついて行けない部分があったかもしれませんが、頑張って努力してくれてますので、さらにスピードに合わせて職員が仕事ができるようにと思っております。
●部局長との間で政策合意
菅川この一年間、西川知事は大変精力的に改革を進めておられて、期待して眺めております。
就任直後に人事異動されて、その後に部局長との間で「政策合意」という全国でも初の取り組みをされたわけですが、この真意はいかがですか。
知事これは、口であれこれ言うよりも、各部局長や職員に具体的な目標を文書で設定してもらうことが重要です。
私自身も、選挙中マニフェストで約束することを決めましたので、部局長にもマニフェストに掲げた政策について私との合意のもとに、目標と結果と責任を三位一体で県政を運営してもらった方がいいだろうということです。
職務協定とはちょっと違うと思いますが、この政策合意は最終目標というのではなくて、それをさらに土台にして自発的にやっていただくことが大事だと思います。
目安のようなもの、率直な気持ちを表すという、そんな気持ちでやったものです。
一年ごとにチェックをしようということで、現在、達成状況について取りまとめをやっております。次の年の組織の編成などにも生かしていきたいと思ってます。
菅川そうすると人事異動の前には結果が出ておるんですね。
知事そうです。それから各課長からも、この一年間の仕事への熱意と、いろんな感想をペーパーにしてもらっています。これは気持ちを客観的にして、お互い見たらどうだろうということで、そうした工夫も付け加えてます。
●三つのS(リーダーシップ、フレンドシップ、パートナーシップ)で県政運営
菅川新しい行政スタイルとして三つのS(リーダーシップ、フレンドシップ、パートナーシップ)による県政運営を進めておられます。
いわゆるスピードとお役所仕事を改善するということですけれども、そのポイントはどういうお考えですか。
知事知事に就任して、一番県民の皆さんからの声が多かったのは、仕事のスピードが遅い、見えにくいということでした。
俗に言うお役所仕事をやめてほしいという強い声がありました。
そこをどう解決していくか。
ひとつは「リーダーシップ」をしっかり取っていかなくてはならないだろう。
これはスピードと決断ということになると思います。
これは二つの面があります。ひとつは県庁の組織のトップとして組織内でのリーダーシップがあると思うんですね。
もう一つは他に多くの自治体があるわけですので、他県に率先し、また国にしっかりものを言うという意味での地方の立場を代表するリーダーシップですね。
この二つかなと思いました。
特に組織内のリーダーシップとしては予算査定のやり方を抜本的に変えました。
これまで下からボトムアップして積み上げることで行っていましたが、徹底的に政策を議論することにしました。
時間はかかりますし、結論に至るまでにはまとめが難しいんですけれども、率直にみんなと議論しようということです。
お金以外の議論も予算の時にやります。縦割りの弊害もなくせます。
国や市町村や民間の方面に、どんなことを申し上げなければならないかということも議論します。
一方、対外的なリーダーシップとしては、例えば原子力発電や拉致問題等ありますね。
福井の立場から国民保護法制について中部圏全体の取りまとめもしました。
法律に対する地方としての提言の事務局を務めまして、その結果、知事の権限の拡大について実効性が上がっているんじゃないかなと思います。
もう一つは「フレンドシップ」です。
リーダーシップは政治には一番大事ですが、それだけではどうも日本型の地方政治では十分機能しないんじゃないか。
リーダーシップだけではなくて、常に県民と向かい合った県政が大事です。
この点を私はフレンドシップと言っております。
一方で、まったく組織主導でもいけないのは当然ですが、まったく陳情対応型の政治もよくない。
これをどう巧くリーダーシップと組み合わせていくか、これがフレンドシップだと思っています。
それで「座ぶとん集会」というのを作りまして、年六十回開催する予定です。
今現在で五十四回を超えています。だいたい年度末までには六十回できるかと思います。
日頃、組織に属してない方といろいろお話して、その中で有益な予算も具体化できるようになりました。
一例をあげてみますと、今はあちこちでイノシシとかクマが田畑を荒らすようになり、苦情が出ます。
そういう鳥獣被害対策の予算も現場の声を聞いてやりました。
それから新規に就労する若者の支援事業とか、子どもが安心して通える通学路の段差の解消や街灯の整備など身近な事業について、座ぶとん集会の声によって新年度予算化しました。
それから三つ目は「パートナーシップ」です。
これは市町村、民間団体などとの協働ということでして、みんなで力を合わせてやっていこうということだと思います。
例えば母親の手作りの子育て情報誌を作ったりしてますが、行政だけで作るとどうしても使いにくいものが多くなってしまう。だからNPOなど団体の人に作ってもらう。
これに関連して議会との対応関係についても、パートナーシップといいますか、活発な議論をしながら車の両輪として県民のためにやっていきたい。そういう考えで三つのS「シップ」でやっております。
菅川今の「座ぶとん集会」といった場合は、相手の県民はどういう形で選定するんですか。
知事マニフェストで「座ぶとん集会」をやりますと言いましたので、二百ぐらいエントリーがあるんですよ。
応募は自由に、いつどんな機会でもおっしゃってくださいということです。
申し込みをもらうんです。それは何時までということはなく、いつでももらうんです。
十人前後いらっしゃればだいたいできますので、一時間程度、その地域に伺った折に時間を見つけてそこでお話し合いする。
そんなやり方で県下かなり幅広くいろんな団体の方と集会をしてます。
菅川ほとんど出前でやるわけですね。
知事出前ですね。職員がたくさん同行するというんじゃなく、ほとんど私が一人で応対する。もうざっくばらんに、話題も特に決めませんが、集まりによって決まってくることもあります。
●ニュー・パブリック・マネジメントに基づく大幅な機構改革 ―― 秘書課、財政課の廃止
菅川先ほど話がありましたけれども、副知事を経済人から登用され、それからいわゆる成果主義によるニュー・パブリック・マネジメントに基づく大幅な機構改革をされておりますが、その具体の組織づくりは如何ですが。
知事「ニュー・パブリック・マネジメント」というのは、その基本を言えば、行政に民間の経感覚を導入しようということでしょうか。
管理するということから経営するということに変えることです。
先ほど申し上げた成果主義、顧客主義、事後評価ということになります。
特に成果主義については、政策推進課という課をつくりまして、政策議論をやっていくと言いましたが、予算をいかに使うかということではなくて、また、ものをいかに造ったかということではなくて、どのように役立ったかという検証をしようと、こういうことで今進めています。
顧客主義については、県民参加でありますとか、県民の皆さんの声が直接知事に届くように、例えば秘書課はたいていの県庁にありますが、内向きの組織であるという思いがありましたので、県民サービス室という名称にして、女性職員が室長になっております。
それから県庁の受け付けも以前は奥の方にあったんですが、正面に出す。名札を皆付けておりますが、写真と名前と自分の目標を書いてあります。だいたい課の目標でしょうか。
電話対応も「私はなになにです」ということで、固有名詞を出して責任を持って対応する。
ホームページの充実を図っています。
それから知事室も基本的に開けっ放し、先ほどもいった壁をなくすということです。
それから車なども小さいエコカーに乗っておりまして、これまでの車は売却しました。
事後評価としては、財政課というのがどうしても予算重視の事前評価主義になりがちですので、事後評価を大事にしようというので財務企画課という名前に変更しました。
スクラップ&ビルト、県民益の立場から事業をチェックするという形にしました。
そして今、「政策推進マネジメントシステム」という庁内の仕事の進め方をより具体化する手引書を作っています。
Plan Do See がありますけれども、その前に分析、アセスメントをよくやろうと、APDS(Assessment ・Plan・ Do ・See )サイクルでやっていく。
現場主義、統計分析、目標管理、いろんな評価指標をしっかり使う、こういう方法で業務のチェックをしていこうと思っております。

※この記事は、月刊 「官界」の許可を得て転載しています。