【トピックス】

月刊 「官界」2004年4月号より転載
「菅川健二の知事訪問」のインタビュー

これから3回連載で掲載いたします。
第3回目のインタビューを掲載いたします。


「福井元気宣言の実行」
 

●原子力発電技術の地元での活用
菅川福井県といえば原子力発電所の立地県だということで、全国的にも有名です。
特に知事としては大変安全性に気を使っておられると思いますが、合わせて原子発電所が持っている技術を県内企業にプラスにするということも期待しておられます。
その辺の見通しはいかがでしょうか。
知事原子力発電については、現在十五基が立地しています。
原子力全体の日本の三割を賄っております。
それから地域全体の電力から考えますと、関西の使っている全電力の六割を福井の十五基から供給しております。
去年は東京で停電の問題がありましたが、なにか故障がありますと関西の電気がほとんど止まるという状態ですね。
やはり今おっしゃいました安全の確保と住民の理解と同時に、地域の振興という三つの柱を絶えず頭に入れながらこの問題に取り組みたいと思います。
特に交付金がこの電源関係で地元に国から交付されます。
これまで産業政策にしか使えませんでしたので、国に要請して福祉とか教育に使えるようになりました。
そういう予算を、グループホームとか子育てとか、そういうものに使おうという考え方を新しくとり入れました。それから、今おっしゃった先端技術があるので、今まで安全のことだけ考えたらどうしても技術を外に出せないという感じがありましたが、そうではなくて、安全は大事だけれども、地元のいろんな産業に移転できるようにしたいと思います。
さらに国家的プロジェクトでありますので、特に「もんじゅ」などが核燃料サイクルに深く関わります。
研究開発機能を大学などと連携して、福井が単に電力をつくるということではなくて、もっと幅広く研究の場に拡大し、展開したい。
国にも提言してまして、国とも十分議論をしながら中核的な研究開発拠点として、「エネルギー・ワールド」というふうな計画を進めております。
菅川県内企業との絡みはどうでしょう。
知事これまではともすると原子力のプラントをつくる時の関係しかなく、業界も地元に技術を広げようということはあまりなかったかもしれないですね。
例えばNASAなどは、幅広く基準を設けて発注しますよね。
安全基準をしっかりしながらもう少し広げていくというイメージかと思いますね。
菅川新たな立地はまだ考えられるんですか。
知事今もんじゅが温度計の事故がありまして止まってますので、それを再び動かすかどうかというのが一つ。
それから、日本原電の三、四号機の増設の問題があります。
それからプルサーマル、これをいかに対応するか、三つがかかっているんです。こうした難しい問題の判断をする必要があります。
●消費税等税権限の移譲を
菅川まだまだこれは大変ですね。
それから十六年度の予算編成では、各県とも地方交付税が、大幅削減になって悲鳴を上げておられますけれども、福井県の場合はいかがですか。
知事福井の場合は、約五千億程度の財政規模ですが、交付税および財源対策債、広い意味の交付税ですが、約二百億削られました。
百億程度はいろんな事業の削減をし、あとの百億円は貯金を崩すことになります。
今基金として貯金は四百億確保していますが、そのうち百億を取り崩そうと。
借金の返済と借入れとのプライマリーバランスの確保、経常収支率を九十五%までにとどめる、最後に貯金を必ず百億円は残す、そういう目安を作って、その中でコントロールをしていきたいと思います。
一方で三位一体の改革で、消費税など基幹的な税を地方に移譲してやるべきだというのが私の考えでもあります。
その前提として地方団体は自分達で「歳入の自治」や「決定権の自治」ができるように仕組みを変えていかなくてはいけないと思っております。
国は外交などを専門にやっていただきたい。
国への陳情はできるだけなくなるように我々は自治的な仕事を行い、そして国は拉致問題、イラクの問題、貿易問題、そういうことにしっかり関わっていただく方向が理念的には望ましいと思います。
特に最近の国の制度は都市型と言いますか、基準が大きすぎる、使い勝手が悪いですね。
地方の声がなかなか反映されていない問題もありますので、そういう改革もする必要があると思っております。
菅川三位一体の地方財政改革ですが、初年度がスタートするわけですけれども、知事会でもいろいろ評価を巡って割れておりますが、西川知事はどういうお考えですか。
知事初めは移譲税源はたばこ税でいいんじゃないかという動きがあったようですが、地方の方から、いやそれはだめだとなった。
今度は所得税でどうかとの説もありました。
そうじゃなくて最終的には消費税ですよと申し上げた。
最近は消費税が本当は都道府県の税としてふさわしいという、だいたいコンセンサスを得ているんです。
国との協議か力関係で、いかにそれを実行できるかなということです。
もっと時間をかけて、絶えず知事会が勉強をしながら、いざという時に制度設計が国との関係で決められるような仕組みにしなくてはなりません。
昨年は時間が足らず、体制づくりが遅れた感じがしますね。
菅川今ご指摘のように、知事は税財政の専門家でもあるし、税権限そのものを地方に移譲せよというご主張ですよね。
それは例えば具体にわたって消費税の場合は、消費税そのものは全額地方の税にしろというお考えですか。
知事年金財源としてふさわしいという議論もありますね。
これは一般的な通念かもしれませんが、必ずしも通念にこだわる必要はなくて、地方が自ら調査したりして、本当に税金をいただく作業をしてません。
決まったものを計算しているんですよ。
地方が課税して調査をし、その税の運営をしっかり自分達が担っていく。
その収支で、地方が少し取り過ぎになっているのなら国にそれを少しお返ししたらよいのではないでしょうか。
そういう仕組みが長期的には望ましいと私は思います。
少し理想に走っているかもしれませんが、それがないといくら分権とか地方税源の移譲にしても、余り実態を伴わず、単なる税収をどうするかという話にしかならない。
菅川
そうすると今若干芽が出ている所得税を住民税に振り替えてという考えは必ずしも適当ではないということですか。
知事それは次善の仕組みとしてはいいと思いますね。やはり住民の税ですから。国と地方で互いに調査協力をし合う、あるいは分担し合うということで、本当に汗をかいて税をいただくという気持ちが地方団体にないと都道府県の税制としては弱いと思いますね。
地方は国ほど努力してないように思います。
●福井のイメージ・アッププライド福井の創造
菅川
福井県は県民が大変勤勉でありながら、地味な県でどちらかと言えば、その良さが全国的に伝わってないという面があります。
その点、西川知事は特に就任以来、福井のイメージアップのために「プライド福井」の創造を掲げて積極的に行動しておられますが、反応はいかがですか。
知事職員皆が現場へ行ったり、売り込みとかセールスとか、そういう動きが出始めたと思うんですが、何と言ってももう少し名前が知れ渡らないといけません。
まずネーミング、福井の名前をよく分かってもらうのが第一ですね。
もう一つは福井の良いものをブランドとして管理する。
単なるイメージアップじゃなくて。
何が福井はいいかなと考えると、これはやはり健康長寿といいますか、元気長生きということですね。
男性も女性も平均余命が全国二位のランクにあるんですね。
男女とも長生き県というのは福井ですので。
永平寺、白山信仰など癒し系がありますからね。
それから食べ物もおいしいでしょう。
コシヒカリ発祥の地で、越前ガニやお酒とか豆腐とかおいしいですし、温泉もあり水もうまい。
やはり「健康長寿」「食」これを中心に福井をブランド管理する。
市町村が中心にそういうことをやり、県が広報する。
これをまた観光につなげていく。
こんなふうに思っているんです。
そして、こうした運動を通して我々のプライドが持てるようになろう。
「福井県はこれだ」というこだわりというか、自信とか誇りがはっきりしてない。
引っ込み思案を直していこうと思います。
菅川西川知事には福井県の良さというものを全国的にPRしていただくとともに、これからの分権時代のモデル県として発展されるよう知事のご活躍に期待したいと思います。
知事そうですね。何といっても福井県が立派な政策を推進し、実効性を上げるということが最大の「ブランド福井」「プライド福井」につながると思います。
菅川そうでしょうね。期待しています。どうもありがとうございました。

聞き手:菅川健二(前参議院議員、地方分権推進事務局長)

※この記事は、月刊 「官界」の許可を得て転載しています。