【トピックス】

平成15年12月27日 讀賣新聞 掲載  全国知事リレー講座

平成15年11月25日、京都市の立命館大学で開かれた
「全国知事リレー講座」に登壇した西川一誠知事は、
『福井元気宣言』の実現に向けて」をテーマに熱弁を振るいました。

マニフェストで活性化
 

 統一地方選で、政策公約であるマニフェスト「福井元気宣言」を掲げて戦いました。任期の四年間で何をやるのか、その財源をどう確保するのかなどを具体的に記し、実行を約束した公約です。
 日本では一九九六年の衆院選で当時の新進党が期限や財源などを入れた公約を示し、二〇〇〇年の衆院選では民主党がよく似た事柄を出しました。でもマニフェストという観念、言葉は使っておらず、今回(統一地方選)が初めてのマニフェスト選挙。地方選で行われたことに歴史的な意味があります。地方から国を変えていくということです。
 日本では公約というのは従来、無責任な言葉の代表で破るために言っているようなものでした。(立候補者も)心を込めて言っていないし、(有権者も)聞いているようには思えませんでした。政策を議論するような政治が行われていなかったと思います。有権者は政治家にものを頼む。選挙で政治家は有権者から一票を頂きたいという、「頼み政治」の世界が多かったと思います。政策を具体的に議論する必要がなかったのが、日本の政治だと思います。
 以前の中選挙区では、同じ政党から何人かの候補者が出て相戦うこともあり、党の公約はあまり意味がなかった。小選挙区になり政党政治が行われたことによって、マニフェストの意味が出てきたのではないかと思います。かつ国民、有権者、納税者が政治的に成熟してきた、成熟しつつあるという背景がなければ、政策によって選挙を行う意義は、あまりないのです。
 私たちがマニフェスト選挙ができた背景には、戦後の「五五年体制」が終わり、国家としての政治的、社会的な改革が行われてきたことがあるのではないかと思います。これによって、政治家は政策的な展開を図ることができ、官僚政治から脱却することができるのではないかと思っています。
 さて地方におけるマニフェストには限界や問題があります。一つは優先政策に絞って記載するため、すべての政策を網羅できないという限界があることです。私のそれにも、青少年対策や消費者行政などの分野があまり入っていないという反省があります。二つ目は社会情勢の変化で(マニフェストを掲げた)目標とのずれが生じることです。
 三つ目は政党のマニフェストは(党員が)共同で責任を負うのに対し、地方の場合は首長一人が責任を負わなければならないことです。四つ目は地方は国の補助金や交付税などがあり、財源や制度上の制約があることです。最後は議会との緊張関係です。私は政策公約を明らかにし有権者と約束しましたが、議会が約束したわけではなく、案件に対し様々な議論が出ます。
 いろんな問題がありますが、それらは政治を活性化させるためには、むしろ歓迎されることです。
 次は福井県の具体的な取り組みです。私はニュー・パブリック・マネジメントという手法で政治を行っており、▽結果を重視する成果主義▽政策をつくる段階から県民が参加する顧客主義▽出来たものを評価する事後評価――の三つの手法を講じています。
 県政運営では、問題に迅速に対応するためのスピードと決断の「リーダーシップ」、県民の目線に合わせ、県民の生の声を反映させて現場主義の政治をするための「フレンドシップ」、市町村や民間団体、NPOなどと対等な関係で、協働していく「パートナーシップ」の三シップを基本方針にしています。
 仕事の仕方として、私は県庁の部局長と文書で契約しています。選挙で示したマニフェストに基づいて、部局長らが何をするのかを文書で明らかにしているのです。政策合意です。
 政治は良いことを考えても、必ずしも良い結果が生まれるとは限りません。最近は結果責任という動きもありますが、自分の信じるところに従って政治はなすべきと、こんな気持ちを持っています。

 

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